歴史的背景と文化と心情

甲斐礼子

ヨランタさん一行は、前日の22日の夜に我が家に宿泊されました。夜遅くに我が家に到着されましたので、お疲れのご様子でした。短い時間、一時間足らずの会話でしたが、面白い話題でしたので、私は、その時のことを書いてみたいと思います。

聴き取りが間違っているかもしれませんが、ヨランタさんのお話では、ラトビアは歴史的な背景の中で、ドイツやロシアとの戦いが続いていたそうです。男性は戦争ばかりしていたので、そのためにラトビアは経済も家庭も女性が支えている国なのだそうです。男性は感情でものを考えて、論理的思考や手に職をつけるのは女性のほうだということです。ですから、国や企業の中枢の管理職は大半が女性なのだそうです。

そんなお話をしている時に、ヨランタさんが私の夫に質問をされました。「ヨーロッパは男性的であるのに対して、日本のサムライは詩を詠んだり、絵を描いたりして、女性的な部分がありますね。どうしてですか?」

夫はその質問に答えて言いました。「私は、詩を詠んだり、絵を描いたりするのと同じような流れの中で、茶道の経験があります。また、若い時に合気道や居合などもしていました。武道の経験があると、サムライが戦いの中で人を殺さなければならないことや、その状況を受け止めなければならない心情をよく理解できます。詩を詠んだり、絵を描いたり、お茶を飲んだりすることは、おそらく心の平安を、バランスをとるために必要とされた美意識ではないでしょうか」

夫の個人的な感想であるかもしれませんが、こんな短いやり取りの中に、歴史的な背景文化と心情を垣間見た気がいたしました。